三郷の農家と米づくり

更新日:2023年06月30日

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三郷の農家と米づくり

 三郷市は東西を大きな河川に挟まれた水の豊かな地域であり、かつては早場米の産地として米づくりが盛んでした。

 本コーナーでは、機械化される以前の米作りに使う道具(農具)や、米作りの流れ、三郷の農家について紹介しています。

昭和30年ごろまでのお米ができるまでの流れ(下線のある農具名をクリックすると拡大してご覧いただけます)

(前年)秋~冬

1.田うない

 万能(まんのう)や鍬(くわ)で土を耕す

 大きな家では馬に馬鍬(まぐわ)を引かせて耕す

  1.  万能や鋤(すき)でタノクロ(田の畦(あぜ))を作る
  2.  苗代(なわしろ)を作る(水車を使って田に水を引く)
  3.  田に肥料を施す(肥桶(こえおけ)・汲み柄杓(くみひしゃく)・打ち柄杓を使用する)
2人の女性がもんぺを着て、草が生い茂った土を万能で耕している白黒写真

 田うないのようす(出典注釈1)

1人の女性が水車の上に乗って、回して水を引いており、2人の女性は傍らで作業している白黒写真

 水車をまわして水を引く

2.代(しろ)かき

 馬鍬を牛馬にひかせて土をおこす

牛が馬鍬を付けて引いているのを、作業している方がコントロールしている白黒写真

 馬鍬をひく(出典注釈1)

3.田植え

 家族や近所の人達と協力して田植えを行う(苗籠(なえかご)・天秤棒(てんびんぼう)を使用する)

水のはった田んぼの中で、10人の方が横1列になり、腰を曲げながら手作業で稲を植えている白黒写真

 田植えのようす

4.除草

 鎌やこすり棒、ハッタンコロガシなどを使って除草する

5.用水管理

 モクカリ鎌(藻刈鎌)、じょれん等で用水路を掃除する

6.稲刈り

 鎌で稲を根元から刈る

鎌を持った3人の女性の隣に、3人の男性が並んでいる白黒写真

 稲刈りをする人々(出典注釈1)

2人の方が腰を曲げて手作業で稲を刈っている写真

 稲刈りのようす

7.稲架(はさ)

 刈った稲を稲架やハンノキで干す

1人の方がぬかるんだ田んぼで刈った稲を稲架に掛けようとしている写真

 稲架に稲をかけているようす

8.脱穀

 千歯こきで脱穀する

 穂が切れてしまったものはくるり棒でツタッカ打ちする

地面に莚を敷き、4人の男女がくるり棒を使ってツタッカ打ちをしている白黒写真

 くるり棒(出典注釈1)

斜面のある場所で、たくさんの人たちが脱穀作業をしている白黒写真

 共同の脱穀作業

9.調整

  1.  莚(むしろ)の上でかえし棒を使って籾(もみ)を広げて干す
  2.  土摺臼(どずるす)を使って籾すりする
  3.  箕、唐箕、ふるいを使って選別する
地面に莚を敷き、男性がかえし棒を使って籾を干している白黒写真

 かえし棒を使って籾を干す(出典注釈1)

女性と男性が唐箕を使って籾殻と玄米を選別している白黒写真

 選別風景(出典注釈1)

10.出荷

 選別したお米をかますに入れ、棹秤(さおばかり)で重さをはかる

たくさんの男性が、俵に入ったお米を車に積み込み出荷準備をしている白黒写真

 出荷のようす

11.加工

 残った藁(わら)を使って莚(むしろ)や俵(たわら)、しめ縄などを作ったり、押切(おしきり)で切って家畜のえさにする

小屋の中で、2人の方が残った藁でしめ縄を作っている白黒写真

 しめ縄作り

その他の道具

郷土資料館常設展「お米ができるまで」展示室写真

もんぺを着た人形や、作業に使う道具などがある「お米ができるまで」展示物の写真

三郷の農家

 伝統的な日本の民家を、三郷市内にかつてあった建物を取りあげながら紹介します。

 民家とは:庶民の住まい=農家・漁家・町家などの総称です。民俗建築、民家建築とも呼びます。貴族住宅、武家住宅、現代の住宅とは区別されています。

彦音・旧千代田家主家(おもや)

 写真と図面で紹介している農家は、平成20年(2008年)に解体された三郷市彦音に江戸時代から代々続く地主農家の千代田家住宅です。

 この主家が解体されることになったため、市の教育委員会が記録保存する目的で、調査を実施しました。調査結果から、建築年代は江戸時代後期から明治時代頃と推定された、この地域の典型的な近世農家の規模と配置形態を残す建物です。

 主家は南向きで、桁行(けたゆき)(東西)19.5メートル・梁間(はりま)(南北)11.8メートルの茅葺(かやぶき)の寄棟(よせむね)造りで、主屋の西には米蔵、東南には、農機小屋が2棟ありました。西に位置する5間×2間の米蔵は、2階建てで、周囲より1尺(約30センチメートル)高く盛られた水塚(ミズカ)の上に建てられていました。

 水塚は、水害が多い三郷周辺で、増水の被害を防ぐために作られた土を盛った施設です。

千代田家住宅の配置図と復元平面図、外観や内観の写真

農家の模型

  この模型は、平成3年(1991年)に三郷市茂田井の海老原義雄氏が、大正時代の旧早稲田村の農家をモデルに作成されたものです。図は、この模型内部の間取図です。

 海老原氏は、多くの住宅を建てた大工職人で、その経験と知識を生かし、三郷の昔ながらの情景を再現されました。縮尺は30分の1で、規模は8間(15.5メートル)×5間(9.0メートル)、柱の構造から農家の主家内部の隅々・細部に至るまで忠実に作製されており、主家の手前には各種農具も並んでいます。主家の隣には、厩(うまや)(作業所兼馬屋)があります。

茅葺屋根の主家と、生活に必要な道具や農具のミニチュア写真

 主家

茅葺屋根の厩(作業所兼馬屋)に馬がおり、たくさんの農具のミニチュア写真

 厩(作業所兼馬屋)

大正時代の旧早稲田村の農家の間取り図

 間取り図

郷土資料館常設展「三郷の農家」展示室写真

茅葺屋根の主家と左側に茅葺屋根の厩(作業所兼馬屋)、多数多様の農具のミニチュアの展示物の写真

参考文献・写真出典

  • 『三郷市史 9巻 民俗編』三郷市史編さん委員会編
  • 『図説民俗建築大辞典』日本民俗建築学会編
  • 『三郷のあゆみ』三郷市史編さん委員会編
  • 『埼玉の民俗写真集』埼玉県編 (注釈1)
  • 『日本民具辞典』日本民俗学会編

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