様々な人権課題について

更新日:2025年03月17日

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平和の尊さや人権の大切さを理解しみんなが意識をもって行動できる

 人権とは、私たちが幸せに生きるための権利で、人種や民族、性別を超えてすべての人に備わった権利です。

 基本的人権の尊重や平和な社会の実現と維持は、国際社会における共通の原理であり、日本国憲法や世界人権宣言の理念とするところです。

 しかしながら、子どもや高齢者への虐待、女性への暴力、インターネットを悪用した人権侵害事件の発生など人権問題は複雑・多様化するとともに、東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故により避難されたかたがたへの人権の配慮などの新たな課題も生じています。

 20世紀前半の二度の世界大戦では、多くの尊い命が失われました。国際社会は、人権の尊重を無視した愚かな行為への深い反省から、昭和20(1945)年、恒久平和をめざす国際連合が結成され、昭和23(1948)年の第3回国連総会では「世界人権宣言」を採択しました。『すべての人間が人間として尊重され、自由であり、平等であり、差別されてはならないこと』を定めており、国際社会の基本的ルールの大きな柱となっています。

 国際連合は、世界人権宣言が採択された12月10日を『人権デー』と決めました。日本では12月4日から12月10日は『人権週間』としています。

日本における人権課題

同和問題

 我が国固有の人権問題である同和問題は、憲法が保障する基本的人権の侵害に係る重要な問題です。

 昭和44(1969)年に「同和対策事業特別措置法」が制定されて以来、平成14(2002)年3月までの33年間にわたり、国では、同法に基づき、地区の生活環境等の改善、社会福祉の増進、産業の振興、職業の安定、教育の充実、啓発など、実態的差別と心理的差別の解消のための総合的な施策を実施し、生活環境の改善をはじめとする物的な基盤整備については相当程度進み、実態的差別の解消はほぼ達成されたものと考えます。
 しかし、人々の意識のうちに潜在する心理的差別については、解消に向けて取り組んでいるものの、近年では、インターネットの匿名性を悪用した掲示板サイトなどへの差別的な書き込みが行われたり、また、結婚、就職、交際などにおける不合理な差別意識は、戸籍謄本等の不正取得や身元調査、不公正な採用選考等の問題を引き起こす要因となっています。

 また、「えせ同和行為」は、同和問題に対する誤った認識を植え付け、これまで行ってきた長年にわたる啓発効果を一挙に覆すことになります。

 今後も、これらの課題の解消を目指し、これまでの同和教育や啓発活動によって積み上げられてきた成果を踏まえて、教育・啓発を中心に同和問題の解決を目指していくことが必要です。

女性の人権

 平成11(1999)年6月に、「男女共同参画基本法」が制定され、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別に関わりなく、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の形成を目指してさまざまな取り組みを進めてきましたが、人々の意識や行動、社会の習慣・慣行の中には、いまだに女性に対する偏見や差別、男女の役割に対する固定的な分担意識が見受けられます。

 また、平成12(2000)年には「ストーカー行為等の規制に関する法律」、平成13(2001)年には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定されて、ストーカー行為、夫やパートナーからの暴力(DV)、性犯罪、売買春、セクシャル・ハラスメント等への立法措置がとられましたが、女性に対する暴力が深刻化するほか、インターネット等のメディアによる性・暴力表現などの女性の人権を侵害する情報が増加しています。

 今後は、さらに、男女共同参画社会の実現を目指して、積極的に関係機関、企業等との連携を図りながら、教育・啓発、相談、支援等の幅広い施策を進めることが求められています。

子どもの人権

 平成元(1989)年11月に国連総会で採択された「児童の権利に関する条約」は、子どもを権利の主体として位置付け、子どもの尊厳や生存、保護、発達などの権利を保障しています。しかし、少子化や核家族化の進行、家庭の養育機能の低下、価値観の多様化、情報化の進展など子どもたちを取り巻く社会環境が大きく変化し、問題も複雑、多様化しています。

 このような中で、児童虐待、いじめ、不登校、有害情報の氾濫や性の商品化など、子どもの権利に関する重大な問題が発生しています。

高齢者の人権

 平成24(2012)年10月1日現在、本市の65歳以上の高齢者人口は、28,570人で、全人口の21.4%となっており、今後も増加が見込まれます。このような状況の中、高齢者への身体的・心理的虐待や介護放棄、財産面での権利侵害、悪質な訪問販売や財産奪取などの犯罪が増加しています。

 また、健康寿命の伸びに伴い、高齢者自身の社会参加の気運が高まるとともに、その価値観や生活の多様化に適応できるような、社会の形成が望まれています。

高齢者が生きがいを持ち、充実した生活を送ることができる社会、人間らしい生き方を最後まで送ることができる社会の構築が必要となっています。

障がいのある人の人権

 平成23(2011)年8月、障害者基本法が改正され、「すべての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」という目的が規定されましたが、まだまだ障がいのある人に対する偏見や差別意識等のこころの障壁、建築物や段差などの物理的な障壁など、障がいのある人が地域社会のすべてに平等に参加するためには、さまざまな障壁があります。また、家庭内や施設、医療機関内での身体拘束や虐待などの報道も見受けられます。

 障がいのある人への偏見や差別意識の背景には、障がいについての理解の不足があります。障がいのある人が健常者と同じように生活し、活動する社会をめざすノーマライゼーションの理念の下に、より充実した福祉サービスの提供を図るとともに、差別意識や偏見をなくすために、正しい理解を社会全体に浸透させていくことが重要です。

外国人の人権

 我が国においては、経済や社会の国際化に伴い外国人住民が増加の状況にあります。そこで、外国人住民の利便性の増進と市町村等の行政の合理化を図ることを目的に住民基本台帳法の一部が改正され、平成24(2012)年7月に施行されましたが、国内では、言語、宗教、習慣等の違いなどから、外国人と日本人の間に生じた摩擦が、偏見や差別を生んでしまうという問題が懸念されています。

HIV感染者等感染症患者の人権

 国は、平成10(1998)年「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」を定め、感染症の患者の人権の保護に配慮するよう国及び地方公共団体の責務、国民の責務を定めていますが、HIV感染者等感染症患者に対しての正しい知識や理解の不足が多くの差別や偏見を生み、さまざまな場面で人権問題が生じています。

 また、平成21(2009)年「ハンセン病患者問題の解決の促進に関する法律」が施行されましたが、いまだにハンセン病患者や元患者等に対する差別や偏見が残っています。

犯罪被害者やその家族の人権

 犯罪被害者やその家族は、犯罪による直接的な被害のみならず、事件の後遺症やマスメディアの行き過ぎた取材や報道、周囲の人々の心ないうわさ、中傷、偏見などの精神的被害、失業や廃業、働き手を失い経済的被害を受けるなどの二次的被害に苦しめられています。

 国は、平成17(2005)年「犯罪被害者等基本法」及び「犯罪被害者等基本計画」を策定しました。また、毎年11月25日から12月1日までを「犯罪被害者週間」として、犯罪被害者等に関する国民の理解を深めるための事業を実施していますが、各種の支援体制は十分とはいえず、今後も行政・司法・民間団体等が被害者支援に取り組み、被害者等の人権の保障を図るとともに、一人ひとりが犯罪の被害に遭った人の置かれている状況を理解し、支援に協力していくことが必要です。

アイヌの人々の人権

 我が国の少数民族であるアイヌの人々は、アイヌ語やユーカラをはじめとする口承文芸など自然との関わりの中で、様々な固有の文化を育んできましたが、アイヌ民族であることを理由として、結婚や就職などでさまざまな差別を受け、経済的にも困難な状況に置かれてきました。また、独自の言語を話せる人も極めて少なくなり、アイヌ民族独自の文化が失われてきています。

 アイヌの人々の人権に関しては、アイヌ民族としての誇りが尊重される社会の実現を図るため、平成9(1997)年に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が制定されました。

 また、平成20(2008)年には「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で採択され、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組んでいますが、アイヌの人々の人権の擁護と文化に対する理解は十分とはいえない状況です。

インターネット上での人権侵害

 情報通信技術の進展は、私たち達の生活や産業に大きな変化をもたらしています。

 インターネットや携帯電話の普及に伴い、情報の収集・発信やコミュニケーションにおける利便性が大きく向上し、生活は便利になった一方で、情報発信の匿名性を悪用して、個人に対する誹謗、中傷や差別的な掲示、プライバシーの侵害、差別を助長する表現の掲載など、人権に関わる問題が生じています。

 また、インターネットを介した個人情報の流失や有害サイトを利用して犯罪に巻き込まれるなど、新たな問題も発生しています。

 このような状況から、平成14(2002)年5月「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)が施行され、インターネットや携帯電話の掲示板における権利侵害に対し侵害情報を削除する措置を管理者等に促し、被害者の救済が図られることになりました。

 小中学生等、青少年のインターネット利用が年々増加する一方で、SNS(ソーシャルネットワークサービス)等を利用した誹謗中傷や違法ダウンロードなど、子どもが加害者や被害者になり、トラブルに巻き込まれる事案も発生しています。

 平成21年度から施行された「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が改正され、平成30年2月から18歳未満の青少年利用者に対して有害情報のフィルタリング有効化措置を行なうことなどが携帯電話事業者に義務づけらました。

北朝鮮当局による拉致問題

 平成14(2002)年9月に行われた日朝首脳会談において、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は拉致について国家的関与を認めて謝罪し、平成16(2004)年までに政府が認定した17人の拉致被害者のうち5人と家族8人の帰国が実現しました。その後、日朝間の協議は断続的に行われてきましたが、残る被害者の安否に関する納得のいく説明はありません。

 拉致問題に関する啓発は、平成18(2006)年6月、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権問題への対処に関する法律」が施行され、国及び地方公共団体の責務と定められました。拉致問題は、国家主権に関わる問題であるとともに重大な人権侵害であり、国民世論及び国際世論の後押しが必要との観点から、国民の認識を深め、国際社会の理解を求める情報発信がなされています。また、同法では、毎年12月10日から16日を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と定め、全国的に拉致問題に関する啓発活動が実施されています。

災害時における人権への配慮

 平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災及びそれに伴う福島第一原子力発電所の事故は、多くの尊い人命を奪い、被災地域の人々の暮らしを一変させ、理不尽な苦しみをもたらしました。
 また、被害を受けた人たちが、避難所においてプライバシーが保護されないという問題のほかに、高齢者、障がいのある人、子ども、外国人などの「災害時要援護者」や女性への配慮が問題となりました。また、根拠のない思い込みや偏見で、原発事故による避難者がホテルでの宿泊を拒否されたり、小学生が避難先の学校でいじめられるなどの人権侵害が起こりました。

 災害時に、すべての人の人権が適切に守られるよう、一人ひとりが人権への配慮について、関心と認識を深めることが必要です。

気づこう 変えよう その一言 STOP!ワクチン差別・ コロナ差別

 新型コロナワクチンの接種は強制ではなく、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。

 また、ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴がある方などは接種することができません。

 職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていないことを理由に、いじめなどの差別的な扱いをすることは許されるものではありません。

 正しい知識と情報をもとに思いやりを持って接しましょう。

 感染者や濃厚接触者を過剰に避けたり非難したりする差別や偏見が生まれています。

 なかには、プライバシーなどの人権を侵害しかねない事例も見られます。

 相手の立場に立って、正しい知識をもとに、感染者やその家族に思いやりを持って接しましょう。

 特定の症状というだけで、感染を決めつけてしまったり、感染者と同じ地域の居住者、同じ学校というだけで差別や偏見の対象となることがあります。

 思い込みを避けて正しい情報を確認し、科学的根拠の乏しい過剰な反応は控え、冷静に行動するよう心がけましょう。

その他の人権問題

 前述の他にも、次のような人権問題が存在します。これらの人権問題は、人権尊重の視点から適切な教育・啓発活動を推進するとともに、関係機関と連携し、効果的な相談・支援活動に努めます。

  1. 刑を終えて出所した人
     刑を終えて出所した人やその家族に対する地域社会からの偏見や就労の問題、住居の確保など、社会復帰をめざす人たちにとって現実は、極めて厳しい状況にあります。
  2. 性の多様性への理解促進
     性的少数者(性的マイノリティー)の方への差別、性の区分を前提とした社会生活上の制約などの問題で苦しんでいる方がいます。
     このような偏見や差別を解消するため、令和2年6月の労働施策総合推進法の改正に基づいて定められたパワーハラスメント防止のための指針において、相手の性的指向等に関する侮辱的な言動を行なうこと等をパワーハラスメントに考えられる例として明示したり、性的マイノリティに関する企業の取り組み事例集等を作成周知するなど、職場における性的マイノリティに関する正しい理解を促進する取り組みが行われています。
     また、学校等においても、児童生徒等に対するきめ細かな対応や適切な教育相談が行われるよう、教育関係者の研修や実践が進められています。
  3. ホームレス
     野宿生活者その他安定した居住の場所を有しない者、いわゆるホームレスは、就業の機会や住居の確保が難しく、偏見や差別ばかりでなく、嫌がらせや暴行を受けるなどの事案が発生しています。

三郷市人権施策推進指針について

 令和3年3月に改定した指針は、下記ファイルをご覧ください。

人権に関する意識調査報告書(概要版)について

 令和6年3月の報告書は、下記ファイルをご覧ください。

埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例について

 令和4年7月施行の条例は、下記リンクをご覧ください。

埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例について

 令和4年7月施行の条例は、下記リンクをご覧ください。

ビューワソフトのダウンロード

添付資料を見るためにはビューワソフトが必要な場合があります。
詳しくは下記のリンクをご覧ください。

この記事に関するお問い合わせ先

人権・男女共同参画課
〒341-8501 埼玉県三郷市花和田648番地1
電話番号:048-930-7751 ファックス:048-953-1135
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