文化財防火デー ~文化財を大切に~

更新日:2023年06月30日

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文化財を大切に

 三郷市では、1月26日の文化財防火デーに合わせ、「文化財を大切に」というテーマで啓発を行っています。

 今年度は、「文化財防火デー ~文化財を大切に~」と題し、みさとデジタルミュージアム上で文化財防火デーや丑・寅年生まれの守り本尊である虚空蔵菩薩立像(市指定文化財)と虚空蔵菩薩立像を祀る延命院の紹介をします。

文化財防火デー

 昭和24年(1949年)1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺の金堂が炎上し、壁画が焼損しました。 この事件は国民に衝撃を与え、文化財保護の気運が高まり、昭和25年に「文化財保護法」が制定されました。
 昭和30年、法隆寺金堂壁画が焼損した1月26日を「文化財防火デー」と定め、毎年この日に文化庁と消防庁が連携し、全国で文化財防火運動を展開しています。

文化財防火デーポスター(令和4年1月26日は第68回文化財防火デーです。文化財 みんなで守ろう)

 令和4年 文化財防火デーポスター

左手前に消防車が停車し右側の校舎の前で放水訓練が行われている様子の写真
校庭でヘルメットを被った参加者が2列に並びバケツリレーの訓練を行っている様子の写真

 彦成小学校講堂記念館での訓練実施の様子(平成30年)

延命院 虚空蔵さま

虚空蔵さまと虚空蔵堂

 宇宙のような無限の知恵と慈悲が収まっている貯蔵庫(虚空蔵)から、人々の願いを叶えるために知恵や記憶力、知識を与えてくれる仏である「虚空蔵(こくぞう)さま」は、「木造虚空蔵菩薩立像(もくぞうこくぞうぼさつりゅうぞう)」といい、三郷市指定文化財(有形民俗)となっています。
 文明18年(1486年)に古刀禰川(ふるとねがわ)(現中川)で発見され、祀り始められました。
虚空蔵さまを祀る地域には、「うなぎは虚空蔵さまの使者や化身である」という言い伝えから、うなぎを食べないという伝承が残っており、これらの地域には、洪水や水害が多いという共通点があります。
 延命院のある彦倉地域でも、「古刀禰川が増水し、堤防が決壊したことにより、軒下まで浸水した。水に流された人々は、丸太につかまり、濁流に流されずに浮いていたがそれはよく見ればうなぎであった。うなぎが多くの人を救い、その恩返しにうなぎを一切口にしないと誓った」という民話が残っています。
 このようにうなぎとの関わりが深いことから、虚空蔵さまを祀る延命院にはうなぎ供養塔が建立されています。また、うなぎに敬意を表すために供養会が開催されているほか、うなぎの絵馬やうなぎ掻き棒が奉納されています。

 虚空蔵さまは秘仏であり、普段は拝覧(はいらん)できませんが、丑・寅年生まれの守り本尊であることから、12年毎の丑年に「御開帳」が行われます。令和3年度は御開帳予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期となり、令和4年4月10日(日曜日)~4月13日(水曜日)の4日間、御開帳される予定です。
 虚空蔵さまが安置されている「延命院虚空蔵堂(えんめいいんこくぞうどう)」は虚空蔵さまと並び三郷市指定文化財(建造物)となっています。
 虚空蔵堂は、江戸時代中期の細分意匠を有する寺院建築であり、『新編武蔵風土記稿(しんぺんむさしふどきこう)』には、延享(えんきょう)2年(1745年)に建立されたと記されています。

黄金の光背や台座の上に立つ木造の虚空蔵菩薩立像をアップで撮影した写真

 木造虚空蔵菩薩立像(市指定文化財)

両端にロウソクが置かれ閉じた観音開きの扉の前に神鏡が置かれた煌びやかな厨子の写真

 御厨子

両端に石灯篭が設置され中央の壁や柱が赤色に塗られた延命院虚空蔵堂の建物の写真

  延命院虚空蔵堂(市指定文化財)

右脇侍に虚空蔵菩薩、左脇侍に慈母観音菩薩を配した中央に接地部分がくりぬかれている黒光りした球体が設置されたうなぎ供養塔の写真

 うなぎ供養塔

うなぎ掻き棒

 うなぎ漁に用いられる道具です。
 竹竿の先に鉄を薄く延ばした刃をつけ、水の中にさしこみ、船の縁を使い、「てこ」の要領で川底にいるうなぎを掻き出します。

柄が長く鎌の先がL字型に曲がっているうなぎ掻き棒の写真

虚空蔵さまやうなぎにまつわる民話

 虚空蔵さまやうなぎにまつわる民話として「こくぞうさま」「こくぞうさまとうなぎ」「さくぞうとうなぎ」があります。これらの民話は、絵本となっており、市内図書館に配架されています。民話は、三郷市教育委員会から発行された『三郷の民話集-日本一の読書のまち-』に収録されており、三郷市電子図書館でもご覧いただけます。

河童の親子のイラストが描かれている「三郷の民話集」と「こくぞうさま」「こくぞうさまとうなぎ」「さくぞうとうなぎ」の民話の絵本の表紙が並んでいる写真

 三郷市電子図書館は下記リンクをご覧ください。

延命院の年末年始

 延命院では、毎年12月にすす払いを行っています。
 すす払いとは、1年に1度、建物のすすを払い、新年を迎えるための準備をすることです。全国的に12月13日に行われることが多く、年末の風物詩でもあります。
 延命院のすす払いには、お寺の役員や町会・子供会から多くの方が参加し、仁王門や鐘楼堂(しょうろうどう)の清掃や境内の落ち葉拾いなどを行います。
 大晦日から元旦にかけては、「除夜(じょや)の鐘打ち会」 が行われ、多くの方が参加されます。
 除夜の鐘とは、寺院の梵鐘(ぼんしょう)をつく日本仏教の行事の一つです。除夜は大晦日の夜という意味で、除夜の鐘は、人間にある108の煩悩を取り払うためにならすと言われています。
 お正月は、一年の幸せを祈願するために初詣に 来る参拝者や無病息災を祈願して行われる七福神巡りの参加者で賑いをみせます。

子ども達やお坊さんが笹竹の先に葉を付けたもので山門のすす払いを行っている様子の写真
鐘楼堂の屋根を参加者やお坊さんが笹竹の先に葉を付けたものですす払いを行っている様子の写真

 令和3年12月12日(日曜日)に実施されたすす払いの様子

大晦日の夜に延命院虚空蔵堂の建物からカラフルな色の提灯が参道を照らしている写真
階段の右側と左側に照明が設置された鐘楼堂の写真

 大晦日の延命院の様子

学芸員のおすすめポイント「すす払い」令和3年12月12日に実施された「すす払い」に、体当たりで調査・取材に行ってきました。すす払いには、町会などから多くの方が参加されており、文化財は多くの方々の手によって保護されていることを実感しました。

ららほっと展示

下記の期間、ららほっとみさとでも資料の展示を行いました。

  • 展示場所:ららほっとみさと(ららぽーと新三郷1階)
  • 展示期間:令和4年1月20日(木曜日)~1月26日(水曜日)
掲示板に文化財についての資料や写真が展示されている写真

 展示の様子

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