オビシャ

更新日:2023年06月30日

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大広戸のオビシャ

 氏子の五穀豊穣(ごこくほうじょう)、無病息災(むびょうそくさい)を願って、稲藁(いなわら)で蛇を作ります。近年は「蛇祭(じゃまつ)り」とも呼ばれています。
 寛文(かんぶん)年間(1661年~1673年)に始まったといわれ、村の繁栄には子どもを大切に育てるのが1番よいとされ、子どもたちも一緒に参加します。

 前日に宿(やど)で蛇を作り、当日鳥居にくくりつけます。祝詞(のりと)をあげた後、蛇を鳥居からはずし、小学1年生から中学2年生までの子どもたちが蛇を担いで社殿を周り、宿へ向かいます。宿で昼食や甘酒などのご馳走(ちそう)を受けた後、神社に戻り境内で1年間の無病息災を祈って、蛇のお焚(た)き上げをします。この時の煙を浴びると風邪をひかないといわれています。

宿(やど)とは

 祭礼で祝宴をしたり休憩する際に、人々が集まり、もてなしなどをする家のことです。

 当番制で、一年ごとに町内の家が交代して担当しています。

鳥居にくくりつけられた蛇(大広戸香取神社)

鳥居に稲わらでできた緑色の蛇を3箇所からひもを使って括りつけられており、注連縄で祀られている写真
鳥居に括りつけられた稲わらの蛇の顔付近を写しており、口が開き目玉や角がついている写真

開催日

 例年1月10日

文化財指定日

 平成14年(2002年)3月22日 埼玉県無形民俗文化財指定

オビシャとは

 オビシャとは、語源でもある「歩射(ぶしゃ)」、「備社(びしゃ)」と呼ばれる弓で的を射て、その年の豊作を占(うらな)う儀式のことです。
 主に関東地方東部で1~2月に行われます。
 市内では五穀豊穣(ごこくほうじょう)、家内安全(かないあんぜん)、無病息災(むびょうそくさい)、厄除開運(やくよけかいうん)などを願って、蛇を作る地区や弓矢で的を射る地区などがあり、「蛇祭(じゃまつ)り」や「祈年祭」、「あられ祭り」などの名称で行われています。

オビシャの蛇

 祭礼の前年の夏から、宿(やど)が蛇の材料となる稲藁(いなわら)〈蛇の本体〉や柳の根〈ひげ〉、真竹(まだけ)〈角・耳〉、もみ殻〈目玉〉などを用意します。
 祭礼の前日に宿で長さ約4メートルの蛇を作ります。(昔は5メートル以上ありました。)
 蛇が出来上がると口にお神酒(みき)をそそぎ、宿の座敷で一晩飾ります。
 蛇に使った柳の根は煎(せん)じて飲むと、熱さましや子どものひきつけに効くといわれており、お焚(た)き上げをする前にもらって、家へ持ち帰ります。

藁を編んで作られた蛇に竹の角や目玉、しっぽのデザインが描かれた紙が取り付けらているオビシャの蛇の全体像の写真

(宮司蔵)

彦糸の蛇祭り

 蛇を作る儀式と、弓矢で的を射る儀式の両方を行うオビシャの一例として、彦糸の蛇祭りがあります。

 1月8日にオス・メスの2体の蛇を作り、オスは彦糸公園内にある弁天社脇の木、メスは100メートルほど北に進んだ道にある木に巻き付けます。
 蛇がいつまでも形を保っていればその年は豊作で、早く崩れると不作になるといわれています。
 蛇作りと並行して、疫病(えきびょう)・災厄祓除(さいやくばつじょ)のために辻飾(つじかざ)りを作り、地区の境にたてます。
 また、1月13日に彦糸女体神社で行われる「春の祭典」では、鬼の顔を描いた的と弓・矢を作り、氏子が順番に五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願って的を射る儀式を行います。

弁天社の脇に生えている二本の木に、丸太と藁を使って作られた蛇を掛けている写真

 オスの蛇(彦糸弁天社)

丸太と藁を使って作られた蛇が、道路の両脇に生えた2本の木に掛けられており、木の周辺を住民が掃除している写真

 メスの蛇(道沿いの立ち木)

住宅街の道路を一列になって歩いている住民の方々や、オビシャの鬼が描かれた白い的を持って一緒に歩いている男性の写真

 彦糸公民館から女体神社へ向かう

住民が見守る中、装束を身に着けた2名の神主が、境内で弓を射ろうと構えている写真

 境内で鬼の的を射る(彦糸女体神社)

開催日

 例年1月8日(蛇作り)、1月13日(春の祭典)

オビシャの鬼の的

頭に二本の角、口から牙が生えている鬼を大きく描いた白い円形の的の写真

オビシャの弓矢

 真竹(まだけ)で作った弓と篠竹(しのだけ)(細い竹)で作った矢です。氏子は自分が放った矢を持って帰り、神棚に供えて災厄祓除(さいやくばつじょ)のお守りにします。

カーブを描いた竹の両先端にひもが渡されており、竹の中心部分には白い布が巻きつけられている写真
竹筒の中に、細い竹で作られた矢が数本入っている写真

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