虚空蔵さまとうなぎ

更新日:2023年06月30日

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 宇宙のような無限の知恵と慈悲が収まっている貯蔵庫(虚空蔵)から、人々の願いを叶えるために知恵や記憶力、知識を与えてくれる仏である「虚空蔵(こくぞう)さま」は、「木造虚空蔵菩薩立像(もくぞうこくぞうぼさつりゅうぞう)」といい、三郷市指定文化財(有形民俗)となっています。
 文明18年(1486年)に古刀禰川(ふるとねがわ)(現中川)で発見され、祀(まつ)り始められました。
 虚空蔵さまを祀る地域には、「うなぎは虚空蔵さまの使者や化身である」という言い伝えから、うなぎを食べないという伝承が残っており、これらの地域には、洪水や水害が多いという共通点があります。
 延命院のある彦倉地域でも、「古刀禰川が増水し、堤防が決壊したことにより、軒下まで浸水した。水に流された人々は、丸太につかまり、濁流に流されずに浮いていたがそれはよく見ればうなぎであった。うなぎが多くの人を救い、その恩返しにうなぎを一切口にしないと誓った」という民話が残っています。
 このようにうなぎとの関わりが深いことから、虚空蔵さまを祀る延命院にはうなぎ供養塔が建立されています。また、うなぎに敬意を表すために供養会が開催されているほか、うなぎの絵馬やうなぎ掻き棒が奉納されています。

右手に智慧を表す剣の剣先を右肩にのせる様に持ち、左手は手のひらを上に向け、金色の光背が光り輝く虚空蔵様の写真

 虚空蔵さま

左右対称に灯りが灯されたロウソクがあり、丸い御守鏡が赤い欄間の上に設置されている黒や金色で宝飾された厨子の外観写真

 虚空蔵さまを安置している厨子(ずし)

直径50センチメートルの球体を中尊として、右側に虚空蔵菩薩、左脇侍に慈母観音菩薩が鎮座している様子の写真

 うなぎ供養塔

厨子とは

 仏像や経巻を安置する仏具のこと

住所

 延命院 (彦倉1-83-1)

文化財指定日

 平成25年(2013)3月14日 三郷市指定文化財(有形民俗)指定

三郷の民話集

 三郷市教育委員会から発行された『三郷の民話集-日本一の読書のまち-』には、市民サークル手作り絵本ハモニカが再話・作成した市内の民話8編が収録されています。
 この民話集には、虚空蔵さまにまつわる民話「こくぞうさま」「こくぞうさまとうなぎ」「さくぞうとうなぎ」が掲載されています。

青空の下の田園の前で、2匹のカッパが微笑んでいるイラストが書かれた三郷の民話集表紙写真

 『三郷の民話集-日本一の読書のまち-』は、日本一の読書のまち推進課にて販売中です。三郷市電子図書館でもご覧になれます。

 お問い合わせは下記リンクをご覧ください。

 三郷市電子図書館は下記リンクをご覧ください。

「こくぞうさま」、「さくぞうとうなぎ」、「こくぞうさまとうなぎ」のタイトルがひらがなで書かれた3冊の虚空蔵さまにまつわる絵本が並べられた表紙の写真

 虚空蔵さまにまつわる絵本

 三郷の民話は“三郷のいいとこ”カルタでも読まれています。

左:「た」の読み札 「たいせつに 語りつがれる 三郷の民話」と書かれた三郷のいいとこかるたの読み札。右:「た」畳に座り、白髪の女性が本を声に出して読む横で、正座をしながら一生懸命話に耳を傾ける子供の絵札

うなぎ掻き棒

 うなぎ漁に用いられる道具です。
 竹竿の先に鉄を薄く延ばした刃をつけ、水の中にさしこみ、船の縁を使い、てこの要領で川底にいるうなぎを掻き出します。

竹竿の先端にイカリの様なするどい鉤がついたうなぎ掻き棒の写真

虚空蔵堂

 虚空蔵さまが安置されている延命院虚空蔵堂(えんめいいんこくぞうどう)は虚空蔵さまと並び三郷市指定文化財です。
 虚空蔵堂は、江戸時代中期の細分意匠を有する寺院建築であり、『新編武蔵風土記稿(しんぺんむさしふどきこう)』には、延享(えんきょう)2年(1745年)に建立されたと記されています。

青空の下、参道から繋がる入母屋造桟瓦葺と朱色壁の延命院虚空蔵堂の外観写真

文化財指定日

 平成25年(2013年)8月22日 三郷市指定文化財(建造物)指定

この記事に関するお問い合わせ先

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